2009年3月9日月曜日

池田信夫「イノベーションの経済学」第1章 イノベーションとは

池田信夫「イノベーションの経済学」第1章 イノベーションとは
結論
リスク型の問題から不確実性型の問題への変化が起きている。

「不確実性」の元でのイノベーションの考え方というのは、これまでの「リスク」の元でのイノベーションとは全く違う

今までのような製造業型のコツコツ積み上げていくリスク管理型のイノベーションとは違うんだということ、くれぐれも考えた方がいい

「危険・不確実性および利潤」という本の中で
リスクは保険でいくらでもヘッジできるが、訴訟を起こされるとか、新製品がヒットするかどうかなんて分かりっこないんだだから、経営者が自分の責任で決断するしかない。利潤というのは実は決断の報酬なんだ。損害で会社が倒産するのは経営者がバカなんだと言っている。

オープンソースでどうやって収入を上げるのか
IBMの場合はLinuxのサーバーのメンテナンスをやる。IBMがやるといっても、IBMの製品はほとんど使わないで、よそから集めてきてSI(System Integration)の部分だけIBMがやるという形で収益を上げている。

著作隣接権
著作者以外はレコード会社、映画会社、放送局くらい
「俺も著作隣接権だ」と言い始める人がいて、法律上認められていないんだけど、たとえば、Smapの肖像権をジャニーズ事務所が持っていると言ったり。

検索エンジンも日本の著作権法では違法ということになっているので、サーバーを置くことさえできない、開発はもちろんできない

P2P
金子勇さん自身は著作権を侵害していない。Winnyを使って違法に映画をコピーした人が何人かいて、その人たちが警察に逮捕された。ここまでは、外国でも例があった。しかし、ソフトウェアを開発した金子勇さんも逮捕されてしまったという事件が起きた。
金子勇さん自身は違法な不正はしてないことがはっきりしているのにも関わらず違法になってしまって、そのせいでP2Pという非常に重要な技術をほとんど開発できなくなってしまった。
知的財産権
他人の表現行為なり知的な活動を禁止する権利を持ってしまう。
アマゾンの1クリック特許のような「ビジネス方法特許」。

1クリックで買い物ができるというのは、ただの思いつき。こんなものまで特許になるなら、世の中のあらゆるものまで特許の対象になりかねない。

もっと怖いのは、つまらないことでも、他の企業に特許を取られたら使えなくなるから、やむなく特許を取らざるを得ないということが起こること。

現実に、特許を申請している人の半分以上は防御的な特許と言われている。つまり、自分が何かを発明してライセンス料を取ろうという気はないんだけど、他の人が特許をとったら大変だし、「ビジネス方法特許」も何が特許になるか分からない。

100人の権利者がいて、そのうちの1人でも拒否したら、全部パァーになるという状態が起きている。

さすがに、特許の弊害が目立ってきたので、ヨーロッパではソフトウェア特許を認めるべきだという欧州指令を欧州議会で否決するということが2〜3年前にあった。


プラットフォーム競争

たとえばEメールはグーグルのサイトに行って「Gmail」で出すということが当たり前になってくると、別に「Gmail」は「Windows」じゃなくても「Linux」でも「Macintosh」でも何でも動く。

最近出ている安いコンピューターは、最初から「Linux」しか入っていなくて、アプリケーションといえばブラウザしか動かない。100ドルパソコン。

電源入れると、ブラウザが立ち上がって、グーグルのサイトに行って、あとはグーグルの中ですべて済む。こうなると、OSがそもそもいらなくなる。「Windows」も何も必要なくなる。そうなると、マイクロソフトが「Windows」を支配しているということは、ほとんど意味がなくなる。

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